オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

12月締め切りの原稿が多すぎて泣きそうです。助けて・・。そんな中、今日は湿地帯に調査へ。たぶん今年最後の湿地帯。大きなカムルチーが獲れました。

しかし今日は結局目的の魚が採れませんでした。あんなにいたのに信じられない。風景は十数年変わらないのに。こうして一種消え、二種消え・・そのままでは我々が消えてしまうかもしれないのでがんばって生物多様性保全をしようと思います。できることから、コツコツと。

 

などということを考えていたらいきなりアリアケヒメシラウオが採れて驚きました。持ち帰って撮影した写真。なお本種は種の保存法に基づき無許可での採捕が禁止されています。九州地方環境事務所からの許可取得済みです。

ちなみに私はアリアケヒメシラウオ種の保存法指定は反対派です。指定後の保全対策がまったくなされていないし、モニタリングもされていません。なのでせめて自分が採った時は記録を残せるようにと思うと毎年採捕許可申請をしないといけないし、その手続きも大変だからです。例えば指定することで水路改修や河川改修で高度な配慮をする根拠になったり、乱獲からの売買を防ぐことになったりして、保全に直結する種も確かにいます。でもアリアケヒメシラウオはほんと??です。本種は飼育はまず不可能なので観賞用に乱獲・売買されることがありません。そもそも広大な筑後川河口に広く薄くいるので、乱獲も困難です。従って採集禁止が主となる指定のメリットが見えません。また、本種は年魚であることから、いきなりいなくなることやいきなり増えることなども想定されますが、採集禁止、だとそういう情報が得られません。断片的でも生息情報をずっと拾い続けられるような形が保全につながります。

アリアケヒメシラウオは地球上で有明海湾奥部の汽水域にのみ分布する日本固有種です。危機的状況ですが、絶滅させてはいけません。本種の保全のためには、種の保存法に指定してただ採捕禁止するのではなく、現在判明している産卵場の保全、それから産卵場となり得る砂礫底環境の再生、ヨシ原を伴うエコトーン帯の再生を積極的に進めていくことがもっとも必要です。