オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文紹介

たまには論文紹介。といっても、年末に知り合いの方から教えてもらったものです。全く気づいてなかったorz
Chen, I.S., Wu, J.H., Hsu, C.H (2008) The taxonomy and phylogeny of Candidia (Teleostei: Cyprinidae) from Taiwan, with description of a new species and comment on a new genus. The Raffles Bulletin of Zoology Supplement, 19: 203–214.
いわゆるオイカワ類(この論文ではZacco, Parazacco, Candidia, Opsariichthys)の複数種について、ミトコンドリアDNAのD-loop領域の塩基配列といくつかの形態的特徴に基づいて、Candidia属の一新種を記載するとともに、属レベルでの再検討を行っています。
遺伝的にはこれらの種は大きく2グループに区別され、一方はParazacco, Candidia, Zacco(=カワムツ種群;temminckii, sieboldii, koreanus)を含むグループ、もう一方はZacco(=オイカワ), Opsariichthysを含むグループとなりました。そのため、新属Nipponocyprisを創設して、カワムツ種群の3種をZacco属から区別して新属に移しています。
結果は、遺伝的な背景にも基づいていますし、形態的な属の定義もわかりやすいので、一読してみて、きちんとした内容の記載であると感じました。素人目にはCandidia属というのはかなりカワムツ種群に似ているという印象を持っていましたし。
ただ、属名はこれでよかったのかな、という気が若干します。こういう余計なところで混乱が起きなければ良いのですが。とにかく、まだ分析されていない種もいるようなので、形態的な部分や生態的な部分も含めてさらに研究が進展すると面白そうなグループです。

上からオイカZacco platypus,ヌマムツNipponocypris sieboldiiカワムツNipponocypris temminckii.まだちょっと馴染まない・・。