オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

中国の淡水魚その1

昨年は2回中国へ調査に行く機会がありました。そこではこれまで憧れだった多くの淡水魚に出会えたわけですが、せっかくなのでその感動を誰かと分かち合うべく、こちらで紹介していこうと思います。今回調査を行ったのは上海から約150kmほど西にある太湖(Taihu)に流入するチャオシー川です。現所属研究室と中国同済大学との共同研究で、将来的には太湖と周辺水系の水質改善そして生態系復元を行っていくことが目的だそうです。大きな応用的テーマに取り組むにはまず、精度の高い基礎データの収集が何より必要ですから、昨年は第一弾として詳細な魚類相の調査を行ったというわけです。ということでだらだらと採れた魚の紹介をしていきます。間違い等あればご指摘いただけると大変にありがたいです。まずはハヤ系。

Aphyocypris chinensis。言わずもがなヒナモロコ。今回は河川での調査のみでしたがわずかながら採集できました。一昨年に福岡のヒナモロコを調べたこともあって、見たときは思わずオオッと感動の声を上げてしまいました。大陸と九州北西部のなんらかのつながりを感じざるを得ない魚です。パッと見は九州産とほとんど区別がつきませんでしたが、若干体型に違いがあるようにも見えます。

Rhynchocypris oxycephalus。こちらも学名的には日本のタカハヤと同じようで、一見したところ違いはわかりませんでした。

Opsariichthys bidens。いわゆるコウライハス。図鑑などで見るとおり、日本のハスより顔が大きいです。下流から中流まで広く生息しているようです。

Zacco platypus。オイカワです。こちらも一応日本のと同種になっているようですが、顔つきに何か違和感が・・。
ということで明日はたぶんクルター類です。

参考文献

Chen, IS., Huang, SP., Jang-Liaw, NH., Shen, CN., Wu, JH. (2008) Molecular evidence for genetic differntation of the Opsariichthys bidens complex (Teleostei: Cyprinidae) in southern China around South China Sea and the validity of Opsariichthys hainanensis. The Raffles Bulletin of Zoology Supplement, 19: 215-223.

Chen, Y. (1998) Fauna Sinica Osteichthyes Cypriniformes II. Science Press, Beijing, China. 531pp. (in Chinese with English abstract)

Sakai,H., Ito,Y., Shedko,S.V., Safronov,S.N., Frolov,S.V., Chereshnev,I.A., Jeon,S.R., Goto, A. (2006) Phylogenetic and taxonomic relationships of northern far eastern Phoxinin minnows, Phoxinus and Rhynchocypris (Pisces, Cyprinidae), as inferred from allozyme and mitochondrial 16s rRNA sequence analyses. Zoological Science, 23: 323-331.