オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

はじめの記録以来一切採れていない幻系の水生昆虫は日本にもいくつかいますが、そのうちで一番幻度が高いのがテラニオナガミズスマシOrectochilus teranishii Kamiya, 1933でしょう。この種は1920年に「東京郊外玉川」から得られた10数頭に基づいて1933年に新種記載された種ですが、その標本は戦災によりすべて焼失したとされています。すなわち、この世に現物が一切存在しません。採集地はおそらく現在の東京都世田谷区玉川付近ですが、1920年頃と現在を比べるとその環境は激変しており、現存は絶望的です(今昔マップ)。

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記載論文をみるとツマキレオナガミズスマシに似ていますが、翅端はやや突出しており逆V字状に切れ込むツマキレとは明確に区別できます。原記載の神谷(1933)は貴重文献ですが、国立国会図書館デジタルコレクションでPDFが公開されており、誰でも読むことができます(ありがたい!!)→リンク

原産地での現存は絶望的ですが、関東地方のどこかにひっそり生き残っていないかなと思っています。あるいはせめて、どこかに標本が残っていないものでしょうか。標本でも良いので実物を見てみたいミズスマシです。

ラニオナガミズスマシについては、東京都本土部昆虫目録作成プロジェクトのコラム「テラニオナガミズスマシは絶滅したのか?」もお勧めです→リンク