とある会議のためTOKYOに出張していました。会議の前にとある魚屋さんを訪問してみたところ、生きたドジョウが売られていました。

購入しました。実は某SNSにおいてMisgurnus nikolskyiが流通しているという情報をキャッチしまして、これはぜひとも欲しいと思ったからです。9袋くらいありましたので、15分ほどじっくりと各袋を観察します。明らかにニコルスキィだらけという袋はなく、小さい方の袋はアムールホソドジョウM. mohoityが中心、大きい方の袋はドジョウ中国大陸系統M. anguillicaudatusが中心のようでした。しかしそのうち小さい袋の方にニコルスキィがいるような気がします。うじゃうじゃ動いていてよく見えませんが決断して選びます。

無事に家まで持ち帰り喜んでいる私です。
翌日さっそく仕分けて確認します。一匹ずつ確認していきます。

ほとんどアムールホソドジョウです。ニコルスキィチャレンジは失敗か・・・その時!

いた!!!いました。これこそまさにM. nikolskyiです!腹鰭基部が背鰭基部と同位置もしくはやや前にあること、黒色で体側に黄褐色の細い線があること、尾鰭に独特の模様があることなどなど、形態的には間違いありません。生きたものをはじめてみました。感動です。本種は中国とロシアの国境を流れるアムール川や、中国とロシアと北朝鮮の国境を流れる豆満江などに分布することが知られます。かの内田恵太郎博士が朝鮮魚類誌において「トマンドジョウ」としたものはおそらくこの種で、この種はその後に北朝鮮の研究者によりM. buphoensisとして記載されています。しかしその後にロシアの研究者によりM. nikolskyiとして記載され、これはシノニムでは?と思っているのですが染色体数が違うとロシアの研究者は主張しており、今のところ分類学的には区別されているようです。でもシノニムだと思います。と言う分類学的なことは置いておいて、超カッコいいドジョウであることは間違いありません。

さて、すべて仕分けしたところ、M. nikolskyiは3個体、アムールホソドジョウM. mohoityは79個体でした。私はドジョウ研究者であり、ニコルスキィを何個体標本にすべきか悩みます・・

しかしその前に私は幼少期からの淡水魚飼育愛好家。飼育したいという欲望にあらがうことはできませんでした。結局2個体を標本にして、1個体は飼育することにしました。ついでにアムールホソドジョウもいくつか標本にして、2個体飼育することにしました。食用に販売されているものなのであまり状態はよくありません。しかし復活したら、飼育して行動などを観察してみたいと思います。
さて、残りの大量のアムールホソドジョウですが、ぜんぶ標本にする必要はないので、本来の目的通り、食べることにしました。

ざるに移して軽く洗います。

袋にいれて酒をいれてもみます。

若干弱ったところを油で炒めます。

ネギ、ゴボウなどと炒めて完成です!アムールホソドジョウのころ炒りです。

アムールホソドジョウ汁もつくりました。
ということでおいしくいただきました。アムールホソドジョウは系統的にもドジョウ日本在来系統に近く、実際に食べてみると骨も柔らかく、在来ドジョウに似た食感・味なのではないかと思います。つまりおいしいです。
調理法はこちらのフナ豆先生の記事を参考にしました。ドジョウはそもそもおいしいので簡単にできますよ。皆さんもぜひ挑戦してみて下さい。
ついでにアムールホソドジョウ論文も紹介しておきます。本種は昨年の12月に私が標準和名を提唱しました。こうして売られているドジョウ類が野外に遺棄されて外来種として問題になっています。買ったドジョウは絶対に野外に放さないように。飼育するか標本にするか食べましょう。