昨日に某オンライン上でカタビロアメンボの講演会があったので視聴しました。日本のカタビロアメンバーの2トップとも言えるお二方の講演大変勉強になりました。改めてカタビロアメンボ科に注目して生きていきたいと思います。ということで福岡県内でみられるカタビロアメンボ科7種を紹介します。いずれも体長は3mm以下で、水面や水際で暮らしています。

ケシカタビロアメンボ Microvelia douglasi。無印ケシカタ、ケシカタオブケシカタ、キングオブケシカタとも言える、その名を和名として背負い、県内では水田やため池の浅い場所、河川敷の水たまりなど、身近な水辺でみられる普通種です。国内では本州~南西諸島に分布。

ホルバートケシカタビロアメンボ Microvelia horvathi。ケシカタビロアメンボと並び本土ではよく見かける種類で、県内では水田や水たまりなど、前種より不安定な水辺にみられる傾向があります。名前は外来種っぽいですが、在来種です。国内では本州~南西諸島(宮古島以北)に分布。

カスリケシカタビロアメンボ Microvelia kyushuensis。県内では海岸沿いの湿地に多い印象ですが、あまり見かけません。名前の通り、「絣模様」が特徴的。国内では本州~南西諸島に分布。近年、本種によく似た別種ミンサーケシカタビロアメンボが八重山諸島から新種として記載されました。

マダラケシカタビロアメンボ Microvelia reticulata。県内では水生植物が豊富なため池などでみられます。あまり気づかれませんが、ヨシがうっそうとした環境だと意外に都市部の公園の池とかにもいます。国内では北海道~九州に分布。やや北方系です。

チャイロケシカタビロアメンボ Microvelia japonica。薄暗い森林内の細流や渓流脇の水たまりなどにいます。こちらもあまり気づかれませんが、県内では広くいる種です。国内では本州~南西諸島(沖縄島以北)に分布。東海地方から本種によく似た新種ケブカケシカタビロアメンボが発見・記載されました。

ナガレカタビロアメンボ Pseudovelia tibialis。流水性で河川上流域に普通にみられます。国内では北海道~南西諸島(トカラ列島以北)に分布。本種によく似たエサキナガレカタビロアメンボが近年になって九州(大分県)からも発見されたので、福岡県内にもいるかもしれません。あんまりきちんと見ていなかったので、今後注意していきます。

オヨギカタビロアメンボ Xiphovelia japonica。水質の良好な林内の池沼の流れ込みなどにみられます。きわめて稀な種類で、県内では絶滅寸前と思われます。一方で、未発見の生息地もあるかもしれません。日本固有種で、本州~九州に点々と分布記録があります。
ちなみに写真はすべて無翅型の成虫ですが、これらはいずれも長翅型といって翅のある個体も出現します。ケシカタビロやホルバートケシカタビロの長翅型は普通にみられますが、その他の種ではかなり稀です。みつけたらラッキー。