オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

ヒョウモンドジョウの同じ個体です。上は白いバケツにいれておいて水槽に移してすぐに撮影したもの。下は30分後。実はこんなに体色や模様を変えることができるんですね。ということで撮影条件によっては模様の特徴なんかも出なかったりするので記録する時は注意が必要です。

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この個体はせまるさんにいただきました。どうもありがとうございました!

日記

以前よりくろむし屋リストのゲンゴロウ科学名等でいろいろとご教示いただいているヤスイケキョウさんが新たにHPを立ち上げたとの連絡があったのでこちらでも紹介いたします。

基礎ゲンゴロウ学(リンク

たくさんの文献を細かく検討されたとても丁寧な内容で大変勉強になります。「図説日本のゲンゴロウ文一総合出版)」以降に変更があった分類体系についてもまとめられており、その点でも大変有用です。個人的には「ゲンゴロウの自然史」コーナーが改めて勉強になりましたが、「日本未記録の科」コーナーは湿地帯生物愛好家としてとても楽しめました。

余談ですが、インターネットは世の中になくてはならないものになり、私がくろむし屋をはじめた頃と比べると検索して出てくる情報は格段に増加しました。しかしその一方でいい加減な情報も多く取捨選択が難しい時代です。そういう中で、こうした文献に基づく丁寧な情報発信は、大きな意味をもつものだと思います。SNSにより真偽不明な情報が日々膨大に発生し水洗トイレのように日々ネットの挟間に流れていくような状況において、いまいちどこうした丁寧なホームページづくりは、インターネットの本来の価値を問い直す上で、プロアマ問わず進めていくべき時代なのかもしれません。

あ、それからくろむし屋リストは現在更新がとまってしまっており、特にゲンゴロウ科は修正が間に合っていません。いまの仕事がひと段落ついたらすべて最新版に変更する予定ですので、ご了承ください・・。ネット上に不正確な情報を置きっぱなしで申し訳ありません。

日記

水生生物を用いた水質評価法には色々なものがありますが、私の推しは平均スコア法です。ふと気づいたら2年前に環境省でもそういうことになっていました(リンク)。リンク先の「河川生物絵解き検索(PDF)」は初心者にもわかりやすく科まで落とせて便利です。

ついでに参考文献メモ。

山崎正敏・野崎隆夫・藤沢明子・小川 剛(1996)河川の生物学的水域環境評価基準の設定に関する研究.全国公害研究会誌,21:114-145.(PDF

※全国35の地方環境研究所の総力を挙げて水質と水生生物の関係を調べ、スコアを付与した力作。データそのものも非常に硬いものですが、解析方法も独特で優れたものだと思います。日本版平均スコア法はここがベースになっています。

野崎隆夫(2012)大型底生動物を用いた河川環境評価 :日本版平均スコア法の再検討と展開.水環境学会誌,35:118-121.(PDF

※山崎ほか(1996)にもかかわり、トビケラ分類学者として著名な野崎氏による分類学的変更等を踏まえたスコア修正の提案。

福岡県(2008)川の生き物観察ガイドブック 増補改訂版.(リンク

※日本版平均スコア法の開発に中心的役割を果たした山崎正敏氏は福岡県保健環境研究所の研究職員だった方ですが、その山崎さんと一緒に調査をしたのが緒方健氏で、その緒方氏が中心となって作成した渾身のガイドブックがこちら。緒方氏は言わずと知れた私のヒメドロ師匠です。このガイドブックでは観察会等で使用しやすいよう得点を半分にし指標種を絞った「簡易スコア法」が紹介されています。今現在、福岡県内で行われている環境教育ではこの簡易スコア法を用いたものが主に使用されており、この簡易スコア法を用いた環境教育の仕方を教えるための行政職員向け研修が今も毎年行われています。

観察会はこんな感じで開催されています→リンク

論文

Water Beetlesのサイト(リンク)に旧北区のゲンゴロウカタログ、旧北区のミズスマシ科カタログ、旧北区のガムシ上科カタログの2019年版が出ていました。最新の学名や分布域(国レベル)などをチェックするのに便利です。ミズスマシ科カタログは初ではないでしょうか。

Nilsson, A.N., Hájek, J. (2019) Catalogue of Palearctic Dytiscidae (Coleoptera). Internet version 2019-1-1.(PDF

Hájek, J., Fery, H. (2019) Catalogue of Palearctic Gyrinidae (Coleoptera). Internet version 2019-01-01.(PDF

Przewoźny, M. (2019) Catalogue of Palearctic Hydrophiloidea (Coleoptera) . Internet version 2019-01-01.(PDF

今書いている図鑑の学名や分布域も全チェックする必要があるかと思うと気が遠くなりそうですが気づいてしまったのでチェックしていきたいと思います・・・。でもPDFなんで便利ですね。そう、時代は便利になっているのです。がんばらないといけません。

 

日記

昨年の秋にふと近所の公園に行ったところ、その近くの水田の水路に少しだけ水がたまっていて、ドジョウがいるのを確認しました。私としたことがまったく知らなかった産地でものすごく驚いたわけですが、その時は(あろうことか)採集用具は何も持っていなかったのです。ということで後日採集しようと思っていたのですが、老化のためか完全に忘れていて、ふと気づくと年があけていました。一昨日ちょっと出張した帰りに思い出したので行ってみました。

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現地につくと、昨秋に見た水たまりは完全に干上がっているではありませんか!しまった、やはりすぐ採りに来なくてはいけなかったと後悔しました。

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よく見ると泥の上には干からびたドジョウが!残念すぎます。やっぱりすぐに採りに来るべきであったと後悔が倍増しました。しかし私はドジョウに詳しいのです。こういう時、ドジョウは干上がった泥の中に潜り込んで、そのまま冬を越すことができるのです。そう本に書いてありました(参考:日本のドジョウ)。そこでその辺の棒を使って掘ってみることにしました。

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すると!なんと!!ミミズのような何かが出てくるではありませんか!!!

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ドジョウです!生きています!!素晴らしい!!古文書にあった通りだ!!

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さらに掘ると、もう一匹!!伝承の通りだ!!!

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生きています。気分はすっかり天空の城ラピュタを発見して古文書の通り石碑の文字を解読することに成功したムスカ大佐です(参考:ムスカ全セリフ集)。

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見たまえ、この生きたドジョウを!これこそドジョウの力の心髄なのだ!!ということで水はありませんでしたが無事にドジョウが採れました。(注:掘った後はもちろん丁寧に埋め戻しています。また掘ったのは水路の一部だけで、水田内は掘っていません。水田内には勝手に立ち入らないようにしましょう。)

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歩き回るとかなり湿った場所もありました。掘りませんでしたが、きっとこの泥の中にも生きたドジョウが眠っていることでしょう。このあたりはほとんど圃場整備がされていません。したがって、水田の水を落としても湿ったままなのです。ドジョウは鰓呼吸の他に、腸呼吸や皮膚呼吸が可能です。したがって湿ってさえいれば水がなくても越冬できるのです。

近代的な圃場整備がなされると、水田の中に水抜きパイプなどをいれて完全に乾燥した畑になるような改造が施されることが多いようです。これは稲を栽培しない冬に、麦など他の作物を効率的につくるためになされます。しかしながらこれをしてしまうと、ドジョウは土壌ごと乾燥してしまい冬をこすことができないのです。九州北部の平野部にはまだ水田が多く残っていますが、ドジョウが絶滅危惧種になってしまった理由の一つがこうした圃場整備にあります。

いつまでもドジョウあふれる水田であって欲しいなと思います。ここはきっと夏にはドジョウがたくさんいるので、夏にまた観察に来たいです。良い場所を発見しました。

日記

今日は川で調査でした。

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ウグイ。黒ずんでいてかっこいいです。

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ドンコ。ちょっと派手目な模様の個体。

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イカワ。オスですがこの時期は銀色ピカピカです。

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カマツカ。かなりの大型個体でしたが、これで体長16センチくらい。

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ナマズ。ずいぶんな渓流で採れました。なんか腹が黒くて変な個体でした。怪しい。

 

日記

しばらくあいてしまいました。色々書いたり、TOKYOに出張したりしていました。今日は日常業務、のつもりでしたが急遽でかけたりとバタバタしていました。いのちのたび博物館のH博士から「ふなみそ」と「ふなずし」をいただいたので、食べました。

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ふなみそです。東海地方一部地域の郷土料理で、フナと大豆を味噌などとともに煮たものです。初めて食べましたがとても美味しかったです!

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こちらは滋賀県の郷土料理として有名な「ふなずし」です。フナを米などとともに漬け込んで発酵させたものです。個人的にかなり好きな食品で、九州ではなかなか手に入らないので、うれしいです。もちろん美味しかったです!

ということでH博士、貴重な食品をありがとうございました!

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そういえば今日はちょっと川に行く機会があったので網をいれたらカマツカが採れました。今日もかっこいいカマツカです。