オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

今日は所用により川へ。

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ドジョウ。これは在来系統。ぶりぶりしてカッコいい個体。オス。

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アブラボテ。繁殖期は完全に終わっている。うつくしい。しぶい。

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イモリ君。今年は異常に幼生が多かった。増えるとよい。これは幼生ではなく成体です。

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エビを採っていたらガーディアンのヤギが襲ってきました。めっちゃ怒ってます!

日記

調査→会議→調査でした。朝は雨でしたが途中からやんだのでよかったです。

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最近某希少種が確認されなくなっているという某水路を確認しに。見た目は変っていませんが。

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ナマズの幼魚がいました。生まれて2週間ほどでしょうか?かわいいです。でも獰猛なので持ち帰って飼育しようと思ってはいけません。90センチ水槽が空いているという人なら持ち帰っても良いかもしれません。

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フナとモツゴです。これもここ数週間に生まれたものでしょう。うじゃうじゃいました。しかし肝心の某希少種は確認できませんでした。いなくなっているとは思えないので、また調査に来たいと思います。ところでこの水路は実は改修済みで、植生が生えるブロックマット護岸になっています。フナ、モツゴナマズなどの幼魚稚魚がうじゃうじゃいたのはこの護岸の成果です。ただしおそらくこの改修で絶滅した種もいるでしょう。農地での生物多様性保全はとても難しいです。それは農地が農業生産の場であるからです。しかし、その一方で農地整備には多額の税金が投入されていますし、食料・農業・農村基本法や土地改良法には自然環境の保全に配慮すべしとあります。もちろん農業の場という前提は絶対ですが、その中で生物にも配慮しなくてはいけない時代になっています。10は残せなくても5は残す、農地での生物保全の落とし所の一つです。悩ましいところですが。

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これは別の調査。ワニガメです。はじめて間近で興奮しているのを見ましたが、これはすごい生き物です・・ 国内ではまだ定着が確認されていない外来種ですが、野外での発見例も少なくなく、今後定着しないか心配です。こんなのが水中にいるとなると、根本的に調査方法を変えていかなくてはいけなくなります。

日記

福岡県某所での湿地帯調査でした。暑かったです。

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コオイムシがいました。卵をたくさん背負っているコオイムシのオス。「子負い虫」の名前はこの生態に由来します。メスはオスの背中に卵をうみつけて、オスは孵化するまで世話をします。タガメの仲間なので少しタガメに似ていますが、だいぶ小さいです。

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背負ってない個体はこんな感じ。翅に生むわけなので卵がある時は空を飛べません。つまりこの個体は空を飛ぶことができるはずです。

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コガムシの卵のうもありました。この中に70~80個の卵が入っています。水面に浮いており、必ず何らかの葉を巻き付けます。尖った角みたいな部分は呼吸の補助に関連すると考えられています。しばらくすると卵のうを突き破って幼虫が出てきます。

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少し場所を変えて砂浜に行きました。何やら蛾がたくさんいましたが、守備範囲外なので名前はわかりません。良い海浜なので良い蛾かもしれません・・

→ワモンノメイガではないかとご教示いただきました。海浜から町まで見られるすごい蛾だそうです。。調べてみたいと思います。どうもありがとうございました!

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イヌと思われる生物の骨がちらばっていました。どういう経緯が何があったのでしょうか。

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同行していただいた某氏のご案内により、ビョウブガイの殻を拾うことができました!この秘密ポイントでは毎年死殻が打ちあがるそうです。福岡県内では絶滅した可能性が高いとされており、これらの殻もかなり古いので可能性は低そうですが、いつか生きた個体を見てみたいものです。40年ほど前までたくさんいたものが絶滅してしまったという話は、枚挙にいとまがありませんが、これもその一例で、なんとも残念なことです。

 

日記

進化論を提唱したダーウィンが言ったと”誤って”伝えられている言葉に、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」というものがあります。これが誤りであることやその経緯はこちらの記事が参考になりますが、生物好きな人なら直感的にそれが誤りであることがわかるでしょう。そんな一例がカブトガニです。

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カブトガニそれほど強くもなく、それほど賢くもなく、それほど変化もしなかったけれども、2億年前とほとんど変わらぬ姿で現在まで生き残っています。生き残るものが生き残る、というだけなのです。

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当然最古のカブトガニ類とまったく同じではなく少しずつ進化して今に至るわけですが、基本設計が約2億年前から変わっていないことから生きた化石と呼ばれます。ところでカブトガニは裏返すとこのように腹部を折り曲げて棘状の尾を突き立てるという防御姿勢をとります。恐竜に襲われた先祖もこうしていたのでしょうか!

 

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先ほどの手の上のカブトガニ写真は幼体で、特別小さいものです。親は大きいです。大きさがわかる写真を探しましたが、裏返しの写真しかありませんでした。裏はこんな感じです(※なおこの個体は干潟上を歩いているのを捕まえて、この写真を撮らせてもらった後、きちんと元に戻して逃がしています。)。カブトガニは一見すると甲殻類のようですが、系統的にはクモなどと同じグループで、エビやカニとはまったく別の生き物と考えられています。
 

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さて、しばしばカブトガニと混同されているのが、カブトエビです↑。先のカブトガニは主に干潟に生息し最大60センチほどになりますが、カブトエビは主に水田に生息し最大5センチほどです。ただ、このカブトエビも約2億年前※からあまり変わらぬ姿で生き続けてきた生きた化石であり、あまり変化せずに現在まで生き残ることができました。カブトエビの方は甲殻類に含まれ、ミジンコなどと同じグループと考えられています。

※2020年6月24日追記 カブトエビが含まれる背甲目のもっとも古い化石は3億6000万年前のものが報告されているそうです→リンク

 

なお国内に分布するカブトガニ類はカブトガニTachypleus tridentatus1種のみで、瀬戸内海沿岸~九州日本海側の干潟に点々と自然分布します。一方で、カブトエビ類は国内からアメリカブトエビTriops longicaudatus、タイリクカブトエビTriops sinensis(※かつてアジアカブトエビT. granariusとされていた種)、ヨーロッパカブトエビTriops cancriformis、シラハマオーストラリアカブトエビTriops strenuusの4種が記録されており、いずれも外来種と考えられています。また千島列島には別属のヘラオカブトエビLepidurus arcticusが分布するようです。この種は北海道のどこかにいるかもしれないですね。

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ということで今日はカブトエビに出会いたくなったので、探しに行ってみました。事前情報皆無でしたが、ラッキーなことに2か所回ったところで生息する場所を発見してしまいました!かっこいい!福岡県内ではアメリカブトエビとタイリクカブトエビの2種が記録されているので、そのどちらかと思いますが私の実力では瞬時に同定できません。

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同じ場所にはホウネンエビやカイエビもたくさんいました。カブトエビ類は外来種と考えられている一方で、この2種は在来種と考えられています。

ところでカブトエビ類は外来種ではありますが、人工環境である水田域以外ではほぼ生きられないこと、他の生物を大量に捕食するなどの侵略性は知られていませんので、今のところは特にどうということのない無害な外来種と言えます。ということで多少持ち帰ってきて、自宅で飼育することにしました。

日記

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配偶者氏が庭で撮影したスミレ。上が午前中、下が夕方。午前中に開いていた種子は夕方には2/3が消滅し、午前中に閉じていた閉鎖花は夕方には開いていました。植物というのはけっこう動くものです。

日記

今日は好天、調査日和でした。ということで予定通り湿地帯調査ができました。今日は完全にゼロからつくられた人工の湿地帯ビオトープの調査です。

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素晴らしい景観!「場」をうまくつくると、湿地帯はかなり期待に応えてその美しい姿を見せてくれます。

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現在のところ人為的には何もいれていないのですが、どこからかやってきたヌマガエルが昨年から大繁殖しています。そして今年からなんとコオイムシが現れまして、今日は幼虫もたくさんみられました。これはうれしいです。

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さらに初確認のヒメミズカマキリです。今後増えていってくれることを期待したいです。

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こちらの水草はまだ未確定。その筋の人が同定してくれているはずです。結果が楽しみです。

全体的にかなり良い感じになってきました。今後より良くなるようにかかわらせてもらう予定です。いやほんと素晴らしい。こうしたものが人類につくれるという事実は希望が持てます。もっと努力しようと思います。

日記

今年は基本的に地元に張り付いているので、希少魚類系統保存関係の技術開発に力を注いでいます。

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ということで先日から取り組んでいるブラックドゼウタンクのうちの5号機。カワバタモロコタンクです。土日の雨で水位があがり植生帯は水没しましたが、そもそもまだ繁殖期になっていないので繁殖はしなかったようです。

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ちょっと確認してみましたが、やはりまだのよう。でもオスはかなり金色になっていて、この1~2週間で繁殖するのではという感じでした。状態もよさそうなので期待できます。