オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

この夏の初め、ポン氏は登下校時にセミの抜け殻を集める呪いにかかってしまい、セミの抜け殻を集めていたわけですが、そのままではもったいないのでコレクションしたセミの脱け殻を数えました。

種類と雌雄にわけて並べていきます。セミの抜け殻は腹端の特徴で雌雄が区別できます。

壮観!結果はクマゼミ雄が51匹、クマゼミ雌が54匹、アブラゼミ雄が24匹、アブラゼミ雌が8匹、ニイニイゼミ雌が1匹、全部あわせて138匹!でした。

 

日記

侵略的な外来種を駆除すると在来種が増える事例についてメモ。

 

宮城県の伊豆沼・内沼においてオオクチバスを駆除したら在来種他が増えた事例の論文(PDF

その解説記事

www.fish-water.jpn.org

沖縄島のヤンバルにおいてマングースを駆除したら在来鳥類が増えた事例の論文(リンク

その解説記事

www.ffpri.affrc.go.jp

東京都の井の頭池でかいぼりによりオオクチバス等を駆除したらカイツブリが増えた事例の報告(PDF

 

侵略的な外来種の駆除は生物多様性保全に大きく貢献するし、根絶できなくても(つまり低密度管理)意味はあるのです。外来種駆除しても意味ないということはないし、根絶できないから意味ないということもありません。人類に持ち込まれたのに人類に駆除される外来種には本当に申し訳ない思いですが、外来種に命を奪われる多くの在来種のことを考えると、やはり持ち込んだ人類が責任をとらなくてはいけないでしょう。

それから、これから大事なのは新しい外来種を生み出さない、ということです。飼っているペットを捨てない、一度飼い始めたら最後まで責任をもって飼育する。動物も植物も同じです。

 

 

日記

色々な仕事、降って湧いてきますね。。わけあってシマハゼの画像を用意したのでこちらにも貼っておきます。

アカオビシマハゼTridentiger trigonocephalus

シモフリシマハゼTridentiger bifasciatus

 

かつてはあわせてシマハゼとされていましたが、その後に2種であることが判明して区別されました。よく似た別種のさきがけと言えるかもしれません。この2種が違うとして論文で報告したのが明仁・坂本(1989)、そう現上皇陛下です。論文はこちら

www.jstage.jst.go.jp

日記

先日に昆虫大学というイベントで購入したコオロギを食べました(昆虫大学についてはそのうち記事にします!)。

アーモンドを食べて育った高級食用コオロギです。期待が高まります。

これはおいしい!昆虫食に興味があるポン氏も、うーんクリーミィー、と言いながらもりもり食べていました。

 

この商品は昆虫食のTAKEOさんのところの商品で、この会社では色々な昆虫食品を開発、販売しています。日々の食べ物に新しい風を呼びたい方、興味ある方、お勧めです。

takeo.tokyo

論文

Sano, I., Saito, T., Ito, S., Ye, B., Uechi, T., Seo, T., Do, V.T., Kimura, K., Hirano, T., Yamazaki, D., Shirai, A., Kondo, T., Miura, O., Miyazaki, J., Chiba, S. (2022)  Resolving species-level diversity of Beringiana and Sinanodonta mussels (Bivalvia: Unionidae) in the Japanese archipelago using genome-wide data. Molecular Phylogenetics and Evolution, 175: 107563.

www.sciencedirect.com

ドブガイ類の分子系統に関する論文です。大変な力作&大作で、日本列島におけるドブガイ類の全容がついに明らかになってきました。

この論文では形態で同定した標本について、ゲノムワイドな解析(ddRAD-Seq法)とミトコンドリアDNA(COI領域)での解析をそれぞれ行い、さらにその結果を比較することで、ドブガイ類の実体に迫っています。

結果はたくさんあるのですが、私が興味深く思ったところとして、ゲノムワイドな解析とミトコンドリアDNAでの解析でその系統関係が一部で大きく異なっていたこと、それでもタガイ属Beringianとドブガイ属Sinanodontaの2系統に大きく区別できる点が一致していたこと、一部で交雑が確認されていること、九州中南部の”ヌマガイ(=ドブガイ属の一種2)”が本州産と大きく異なり固有性の高い学名未決定種と考えられること、などです。特にCOI領域の解析だけでは種の区別が難しい、というのは塩基配列を用いた同定を行う上で重要な事実だと思いました。

 

ということで以下個人的メモです。

タガイ Beringian japonica (Clessin, 1874) ※本州(東部)
チシマドブガイ Beringian beringiana (Middendorlf, 1851) ※北海道
キタノタガイ Beringian gosannensis Sano, Hattori & Kondo, 2020 ※本州(青森~本州日本海側)
ミナミタガイ Beringian fukuharai Sano, Hattori & Kondo, 2020 ※本州、四国、九州
オグラヌマガイ Sinanodonta tumens (Haas, 1910) ※本州(琵琶湖淀川水系
マルドブガイ Sinanodonta calipygos (Kobelt, 1879) ※本州、四国
ヌマガイ Sinanodonta lauta (Martens, 1877) ※北海道~九州(北部?)
ドブガイ Sinanodonta woodiana (Lea, 1834) ※本州(外来種
ドブガイ属の一種1 Sinanodonta sp. 1 ※本州(東部太平洋側)
ドブガイ属の一種2 Sinanodonta sp. 2 ※九州(中南部?)

九州のドブガイ類についてはもう少し解像度の高い情報が欲しいところです。今後の研究の進展が楽しみです。

これは遠賀川水系。これがヌマガイかな・・

これは矢部川水系。ミナミタガイだろうか・・うーむ・・ 修行します・・・

日記

県内でも宿泊すると飲酒できて良い。しかし感染症もあり遠出は避けたい。ということで一泊二日で北九州市に旅行に行きました。旅程は「北九州市いのちのたび博物館」>>「魚部カフェ・バイオフィリア」>>「餃子工房你好田町店」>>「小倉リーセントホテル」>>「小倉城」>>「北九州市立文学館」>>「到津の森公園(動物園)」というものでした。

まずはいのちのたび博物館。夏休みの昆虫展を開催中でした。カブトムシやクワガタムシ、チョウに紛れつつそこかしこに水生昆虫の存在を感じる良いものでありました。感染症対策のためWeb事前予約制です。次いで常設展も。化石も身近な自然も歴史もよくまとまっていてかなりマニアックでお勧めです。

 

北九州市小倉北区の魚部カフェ・バイオフィリアへ。

名物ドジョウ塩焼きを食べることができました。おいしいです。ジョウ塩焼きを出す異色のカフェ、というだけでなくプリンとかコーヒーとか紅茶とかおいしいし、本もたくさんあって、きれいな水槽とか、九州大学の古い机や棚(九大什器)もあり、普通にカフェとして素晴らしいので皆さん行ってください。各地の作家さんの生き物グッズも充実しています。

 

夜は餃子工房你好田町店へ。金曜夜というのに心配になるくらいお客さんはいませんでしたが(というか我々だけ)、餃子含めておいしいです。

 

朝は小倉城天守閣は再建されたものですが、石垣とセットでお城が見られるのは、福岡県内では貴重です。お堀のうちいくつかは水草類がかなり良い状態で透明度が高く、ナマズが見えました。コイや猫やハトへの餌やり禁止の張り紙が多く、素晴らしいです。今後、野生生物と共存していく社会づくりを考えていく上でも、重要な部分と思います。

 

北九州市立文学館ではゾロリ展をやっていたので見に行きました。かなり充実していて面白かったです。ちなみにポン氏はかなりのゾロリリスペクトマンなのでかなり喜んでいました。この看板のキャラも全員説明してくれました。

 

最後は到津の森公園(動物園)へ。こちらは生態展示や動物福祉を重視した展示を強く打ち出していて、どの動物も楽しそうで良かったです。

久しぶりに行きましたが、「里のいきもの館」がレイアウトも、そこかしこにちりばめられた「生物多様性保全」へつながる明確な「意識」も、素晴らしかったです。動物園や水族館の展示は担当者の「表現」「作品」だと思うのですよ。しかし主役は生物であり、生物多様性保全や動物愛護やワンヘルスやSDGsなどの「社会的課題」に関する正しい知識も含め伝えなくてはいけない。そんな縛りの中でどれだけできるか。そこを見たいのですよね(マニアなおじさんの意見)。

 

ということで感染症が猛威をふるうなか、なかなか判断は難しかったのですが、割合に人の密度の少ないところを縫って、県内でポン氏の夏休みの一コマをつくることができたのではないかと思います。北九州市は福岡市に次いで九州第2の都市。見どころもたくさんあります。もし機会があればぜひお越しください。

日記

再び長らく更新できていませんでした。東京で開催されたイベント昆虫大学に行ったり、新種のドジョウを発表したりと色々ありましたが(これらは近いうちに記事にいたします)、その間に様々な仕事が降りかかっておりまして、完全に首が回っていませんでした。今日は完全オフということでポン氏と遊んでいました。

 

ということでヤマメの釣り堀に来ました。私はあんまり釣りをしないので、ポン氏も釣りを知りませんので、そういう勉強もかねて。ふむふむと説明を聞いて練り餌をつけて放り込みます。

 

何度か挑戦して見事に釣れました!魚のパワーに驚愕していたので良かったです。その後さらに2匹追加し、私も1匹釣って合計4匹で終えました。

 

ここでは釣ったヤマメを焼いてくれます。ポン氏は川魚を食べるのが好きなので、喜んで食べていました。こうしてヤマメを気軽に釣って食べることができるのも、安定して種苗生産し、安価に育て上げる水産の養殖技術、これがあるからでして、やはり素晴らしいものです。