小さな池に同所的に生息するゼニタナゴ(在来)、タイリクバラタナゴ(外来)、カネヒラ(外来)の食性を詳細に分析して、餌資源の競合が起こっている可能性を指摘した論文。外来タナゴ類が定着すると産卵母貝の競合が起こりますが、特に小さな池では餌資源でも競合が起こり在来タナゴに悪影響を与えるようです。起こっているだろうなということを科学的に明らかにすることは意外と難しかったりしますが、丁寧にその証拠を論文化していて大変勉強になります。
とりあえずタナゴの放流はしないようにしましょう。環境破壊です。
小さな池に同所的に生息するゼニタナゴ(在来)、タイリクバラタナゴ(外来)、カネヒラ(外来)の食性を詳細に分析して、餌資源の競合が起こっている可能性を指摘した論文。外来タナゴ類が定着すると産卵母貝の競合が起こりますが、特に小さな池では餌資源でも競合が起こり在来タナゴに悪影響を与えるようです。起こっているだろうなということを科学的に明らかにすることは意外と難しかったりしますが、丁寧にその証拠を論文化していて大変勉強になります。
とりあえずタナゴの放流はしないようにしましょう。環境破壊です。
とある魚の観察のためにFUKUI県に行ってきました。翌日はせっかく来たので観光など。
九頭竜川です。ネットで調べたところ、川魚料理を食べることができるお店があるとのことで行ってみました。
こちら、さぎり屋、さんです!
サクラマスのフライ定食です。美味!
アラレガコ(標準和名カマキリ)のから揚げです。当地の名物として知られていますが、今では個体数が減って漁業も成り立たず、しかし養殖に成功しておりそれを食べることができるとのことでした。美味。
天然アユの塩焼きです。雄と雌が選べるとのことだったので、雌にしました。タデ酢をつけていただきます。美味。
アラレガコ(標準和名カマキリ)は別名アユカケとも呼ばれ、これは鰓蓋の曲がった棘でアユをひっかけて食べるという伝説(実際に見たという人はいますが動画などでは確認されていない)があり、写真はその棘です!しかし上手に揚げてあるので、私はバリバリと、美味しくいただきました。
ということで生物多様性の恵みでした。いつか天然アラレガコも食べてみたいものです。九頭竜川は見るからに良さそうな清流でしたが、かつてと比べてサクラマスも減っているとのことで、昔はもっともっと良かったのだろうと思います。もっともっと川を湿地帯を良くしていきたいです。
年度末に向けて調査などを進めています。
本日のとある川にて、シロウオが遡上して来ていました。これでハゼの仲間。すごすぎる透明な体は何度見ても感動します。
こちらは別のとある川にて、カゼトゲタナゴ。産卵期まではまだ間があります。今年も増えて欲しいものです。すごすぎる青いラインは何度見ても感動します。
ところで上記のカゼトゲタナゴは水田地帯の水路で採集したものです。水田や農業水路は色々な湿地帯生物が暮らす生物多様性豊かな場所ですが、一方で、「水田や農業水路は人工環境なのだから守るべき自然ではない」と思っている人は少なくないようですね。実は水田や農業水路は二次的自然環境として、生物多様性保全上重要な守るべき”人工的な自然”の一つです。「自然を守る」というのは色々な見方があってわかりにくく、環境問題として考えた場合には「生物多様性を守る」と捉えるとわかりやすいと私は思っています。守るべきは生物多様性であって、生物多様性が豊かな守るべき場所には人工のもの(二次的自然)と人工でないもの(原生的自然)があります。
二次的自然については、農林水産省関東農政局のこの解説がわかりやすいです↓
水田や農業水路に生息している生物は、本来は河川の氾濫原湿地に生息していた生物です。日本では氾濫原湿地の多くは水田地帯に改変され、破壊されてきたわけですが、水田の農業システムは自然の氾濫原湿地のシステムと似ていたので、その多くが水田地帯に移住して人間と共存してきました。近代までは。
しかし、農地の近代化が進み、水田地帯で人間と共存してきた生物の多くが絶滅に瀕することとなりました。水田地帯の生物多様性の劣化は、河川や海域の生物多様性の劣化にも波及します。そこで、農地の近代化と生物多様性の両立を目指し始めているのが現段階ということになります。もちろん、だから具体的にどうすればよいのかという点についてはケースバイケースで、現在のところ課題は多くあります。しかし生物多様性が失われれば我々の社会基盤が壊れ、農業どころではありません。なんとかその点だけは共有して、その上で、社会的課題として社会全体として、その解決策を考えて実行していきたいものです。
年度末は委員などの仕事も多く、出張が続いています。先日はTOKYOでとある委員会があったので、せっかく関東まで来たついでに群馬県まで行ってきました。
由緒正しきこの神社はかつて湿地帯の真ん中にあったという素晴らしい歴史を持っています。そして、湿地帯の真ん中にあったことからもわかるように周囲にはいまだ川魚食文化が残っており、川魚料理屋が数件あります。そして名物はナマズです。
念願のナマズ天ぷらとたたき揚げを食べることができました。ナマズのおいしさが濃縮された天ぷら、どこか懐かしい感じのもあっとしたたたき揚げ、大変美味でここまで来たかいがありました。
めったに来れるところでもないので散財です。味噌汁をコイこくに変更した上に、コイのあらいもつけます。つけあわせの小魚はモツゴでした。非常に淡水魚度が高く、満足度は500%以上でした。
ナマズは天然だそうです。
本殿裏の社務所には大きな「なまずさん」が鎮座しています。これも今回、見たかったものです。
300円でハンカチを入手して、丁寧になでることで、厄除けになるそうです。当然挑戦します。後ろのナマズを抱きかかえている鬼(雷神?)も良い味わいです。
なでます。太宰府天満宮の牛と同様に、このなまずさんもみんなに撫でられて金色に輝いていました。これはご利益がありそうです。新型コロナ蔓延時期には新型コロナ対策として触れないようになっていたという情報もありましたが、今回は解禁されていたようでした。撫でまわしてきました。
関東地方のナマズは江戸時代くらいに持ち込まれた外来種という説が主流です。魚類学者のはしくれとしては、関東のナマズは本当に外来なのかということや、外来であったとしたら地域の淡水生物相にどのような影響を与えたのかなどは気になるところです。しかしこうして興味深い文化にもなっており、こうなってはいつまでも続いて欲しいものと思います。生物多様性の文化的サービスの一つと言えるでしょう。良い経験をしました。
2月2日は世界湿地の日です。今日です。ということで昨年2023年に訪れた素晴らしい湿地帯の風景を紹介します。
ため池。ルイスツブゲンゴロウがたくさんいました。
塩性湿地。クロチビミズムシとキタミズカメムシが無限にいました。
渓流。イシドジョウがいました。
埋立地に造成された湿地帯ビオトープ。生物はいれていませんが、勝手にどこかからやってきて多くの生物が暮らしています。
海苔が好きな人、昆布やイリコの出汁のうどんがないと生きられない人、多様な握り寿司最高と思う人、国産アサリ味噌汁食べ続けたい人、全員、あらゆる湿地帯を大事に思って、生物多様性の保全と再生を応援してください。すべての湿地帯と湿地帯生物と我々はつながっています。