湿地帯中毒

湿地帯中毒患者(末期)の日記です。

アリの巣をめぐる冒険―未踏の調査地は足下に (フィールドの生物学)
アリの巣をめぐる冒険 未踏の調査地は足下に」 丸山宗利(著)
アリと同居する昆虫の研究で有名な九大総合博物館の丸山宗利さんの渾身の一冊。200ページ超えとこのシリーズでは長いですが、一気に読めてしまいました。生き物好きな人や研究者とは何かを知りたい人、それから著者も言っていますがこれから研究者になりたいと考えている高校生や大学生にはかなりオススメです。もちろんプロアマ問わず現在生き物研究者の人にも。昆虫の写真がカラーで見たかった、というところが唯一残念な点ですが仕方ありません。
構成は「第1章 好蟻性昆虫学ことはじめ」「第2章 アリの行列の百鬼夜行」「第3章 研究の枝葉を伸ばす」「第4章 冒険は続く」となっています。好蟻性昆虫の研究を開始するきっかけとなったアリクイエンマムシの話から開始され、概ね時系列にそって研究が発展していく様が第1章〜3章に記されています。そして第4章では一転して、虫好きな子供がいかにして大学で昆虫研究者の職を得たのか、その苦悩と挑戦の日々が語られています。
第1章〜3章はとにかく生き物好きな人にとっては、挟まれている写真やイラストを見るだけでも楽しいでしょう。ほかでは見ることができない好蟻性昆虫の珍奇な姿が堪能できます。また、熱帯での昆虫採集、衝撃の新種発見、仮説の検証と論文化などなど、生き物研究の最も面白い部分を疑似体験することができます。そして第4章は特にこれから生き物の研究者を目指す若い方には必読の書と言えましょう。詳細はぜひ買って読んで下さい。
それと、途中にはさまれているコラムがどれも非常に面白いものばかりで、よく練られた一文一文が見逃せません。特にp38〜40の「分類学は科学かという議論」、p74〜76の「属ってなんだろう」は生き物を扱う研究者は知っておくべき・考えておくべき問題。
2回ほど読んでみて、やっぱり生き物の研究者は対象物への愛が重要ということと、研究には夢がないといけない、ということを強く感じました。

著者の丸山さんのホームページはこちら↓
https://sites.google.com/site/myrmekophilos/




・・ところで余談ですが、私が丸山さんの名を初めて知ったのは学部1年の時(1998年)。Q大生研昆虫班の影の総理ことF本氏が主催していた「バトルロワイヤル同好会」の会誌「バトル」の会員紹介中でお名前を拝見したのでした。F本さんからは、朽木と誤って○○を損壊するような偉大な方だから覚えておけ、と言われたのを覚えています。私は昆虫採集をはじめたのが大学に入ってからだったので、このバトルロワイヤル同好会の虫屋特有の異常な熱気にビビッて入会しなかったのですが、その勇気の無さが悔やまれます。このバトルの余部はF本さんから頂いて大事に保管してありまして、本日改めて読み返してみると何と言うかやっぱり「ブレない人は偉大である」という、当たり前のことに気付かされます。私はブレブレですがせめて湿地帯生物への愛と研究への夢は失わないように生きたいと、この本とバトルと丸山さんの生き様を見て思いました。以上余談でした。