毎年1月19日は佐賀県鹿島市浜町で「ふな市」と呼ばれる祭りが開催されます。ふな市は「ふなんこぐい」と呼ばれるフナ昆布巻や生きたフナが売られるお祭りです。今年は前魚類学会会長I先生にお声がけいただき、ふな市観光ツアー?に参加してきました。
ふな市は早朝6時くらいから開始します。ということで付近に宿をとって翌朝出かける作戦です。ツアーには元琉球大学学長のN先生や元水産大学校校長のS先生をはじめ各界で活躍されるそうそうたる方々が参加しており、そうなると前夜祭が開催されます。

宮城県から来られた先生もおられお土産のホヤです。
皆さん持ち寄った飲料も豊富です。もはや飲酒するしかありません。


付近で購入してきた「やすみ」、すなわちメナダです。甘くておいしい!

京都から参加されたT先生お手製の鮒寿司!ニゴロブナです!生物多様性の恵みに溺れ、さらに後半からはプロジェクターを用いて宿にあったホワイトボードにスライドを映し、酒のつまみの研究発表を開始です。酔っぱらった大先生たちからの鋭い指摘に熱い議論が交わされ、0時を過ぎても楽しい時は続きました。
さて、翌朝私が6時半くらいに目を覚ますとまだ誰も動いていませんでした・・やや出遅れた感ありますがさっそく出発です。

久しぶりに来ました!ふな市です!会場ではQ大のM先生や伝説の写真家N氏にお会いすることができました。湿地帯戦士の集結度が高いです。
ふなんこぐいが売られています!ふなんこぐいはようするにふなの昆布巻です。昆布で巻かれているのでフナは見えません。


こちらがふなんこぐいです。主催テントでこれをカットしたふなんこぐいが無料配布されており、買わなくても食べることができます。
そしてふな市といえば生きたフナの販売。しかし年々出店者が減り、昨年は1店のみとのことでした。今年はその1店も出店できず、商工会の方で手配した生きフナ販売の水槽1つのみとなっていました。

フナが減り、フナを売る人も減っていく中で減って行った生きフナ販売ですが、見ているうちにこれらのフナも買われていき、完売です!そうです、売れるのです。フナがいないのでこれ以上売ることができないという事態。生物多様性が失われることで文化が失われる危機。生物多様性の文化的サービスを実感する事例です。フナがいないなんてそんなばかな!と思う人もいるかもしれません。確かに絶滅するとかいうレベルではありませんが、しかし、ものすごくたくさんいるという状況でなければ利用する文化は持続しないのです。絶滅しなければいいというものではないのです。私が知る限りでも、近年までフナが多数いた水路も河川も、その多くは見る影もありません。
振り返ってみると2009年のふな市に行った時の様子が当ブログに残されていました。
2009年つまり17年前にはまだ店もたくさん出ており、フナ以外にも色々な生き物が売られていたことがわかります。しかしこの段階でも店の数が減っているとの記述があります。「したり顔でここのは美味いね、などと言える日が来ると良いのですが」などと書いてあります。今回久しぶりに食べたふなんこぐいはとてもおいしかったです。おいしさはわかるようになったのに、フナはへり、ふなんこぐいの種類も減ってしまいました。
いずれにしましてもふな市は関係者の努力によりまだ続いていることがわかりうれしかったです。引き続きのふな市開催を応援しています。また今回お誘いいただいたI先生、ありがとうございました。貴重な機会となりました。
この貴重な淡水魚食文化はいつまでも続いていって欲しいです。
ところで会場は「肥前浜宿・酒蔵通り」という場所で、古い建造物を中心とした素晴らしい景観がみられます。個人的な推しポイントが水路です。色々なタイプの石垣水路を見ることができますので、ふな市にかかわらず観光にもぜひお越しください。




オイカワがたくさんいました。三面コンクリート水路ではこうはいきません。生物多様性!