オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

f:id:OIKAWAMARU:20190408175216j:plain

オキナワミジンダルマガムシLimnebius nakanei okinawaensisです。体長約1.2ミリ。沖縄本島の固有亜種で、清流の岸際の砂利中でひっそりと暮らしています。真横からみると体下面に空気をいっぱい貯めていることがわかります。水中の砂利や落ち葉の表面を素早く歩き回ります。尻尾が特徴的ですが、この尻尾にはどんな意義があるのでしょうか?私は知りません。

日記

ポン氏がめでたく保育園を卒業(卒園?)したので、卒業旅行として家族で沖縄島に行ってきました。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173346j:plain

7回目?くらいの沖縄島ですが、今回は家族旅行であるからして観光です。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173349j:plain

A&Wへ。ここのハンバーガーが好きです。もちろんルートビアも大好きです。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173352j:plain

夜も飲んだくれます。沖縄で飲むオリオンビールは美味しいですし、ゴーヤチャンプルーも美味しいです。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173402j:plain

ちゅら海水族館も行きました。実はこれまで行ったことがなかったのです!水族館愛好家としては楽しみ。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173404j:plain

全体的に生き物の状態がよく、地味なものから派手なものまでバランスの良い水族館でした。ジンベイザメやナンヨウマンタはさすがの迫力!素晴らしいです。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173408j:plain

名護のあたりで食べた沖縄そば類。どちらもGOODでした。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173420j:plain

国頭村の有名な観光スポットである道の駅ゆいゆい国頭にあるヤンバルクイナの像。塗り直されてきれいになっていました!前のボロボロの不気味な雰囲気も好きだったのですが、これも世の流れと言えましょう。撤去されるより良かったので、またボロボロになるまで数十年、フンバッテいて欲しいです。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173424j:plain

観光ですので、沖縄島の素晴らしい自然環境に触れる観光も組み込みました。沖縄島固有亜種であるオキナワミジンダルマガムシを探しています。無理やりではありません。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173426j:plain

いました!オキナワミジンダルマガムシです!時期が良かったのか、爆産していました。「え?小さすぎない?」という奥方の声が聞こえた気がしましたが、よく聞こえませんでした。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173437j:plain

沖縄島といえば超大型ミズスマシであるオキナワオオミズスマシでしょう。相変わらずのかっこよさです。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173439j:plain

ブルーシール本店へ。アイスづくり体験をしました。ポン氏は死ぬほどアイスクリームが好きなのです。美味しかったです。大人気プログラムのようで、予約必須です。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173441j:plain

人工海浜。ポン氏はもはや泳いでいました。常夏です。でも安全できれいで、まあ確かに良いですね、こういうものは。

f:id:OIKAWAMARU:20190407173450j:plain

帰りの飛行機。翼には奄美群島のシンボルであるところのアマミノクロウサギが描かれていました。観光に徹した今回の沖縄旅行でしたが、たまにはこういうのも良いですね。

日記

今年度最後の調査。当然、湿地帯です。

f:id:OIKAWAMARU:20190328195903j:plain

今日の湿地帯はこちら!良いですねー。この何気なさがにおいますねー。

f:id:OIKAWAMARU:20190328195905j:plain

ここは数年前にみつけた秘密の湿地帯のうちの一つなのですが、数年ぶりに再訪。相変わらず!カスミサンショウウオの卵のうが!たくさんあります!うれしい!!

f:id:OIKAWAMARU:20190328195908j:plain

成体も一匹だけ、いました。イイデスネー。最高です。なめまわすように撮影してお帰り頂きました。いつまでもこのままであって欲しいものです。

f:id:OIKAWAMARU:20190328195935j:plain

同じ場所にはイモリ君もいました。すごい嫌がってしまった結果、かっこいい写真が撮れました。

f:id:OIKAWAMARU:20190328195911j:plain

これはまた別の湿地帯。ここは今回初めて存在に気が付きましたが、ここもカスミサンショウウオがたくさんいました。孵化しています。

f:id:OIKAWAMARU:20190328195942j:plain

ここでも一匹だけ成体をみつけました。ブリッとしています。良いですねー。

f:id:OIKAWAMARU:20190328200004j:plain

帰りに秘密の細流にいきます。

f:id:OIKAWAMARU:20190328200005j:plain

たぶん上がマルヒメツヤドロムシ、下がサンインヒメツヤドロムシです。たぶん。ここはこの2種が同所的います。

f:id:OIKAWAMARU:20190328200011j:plain

さらにその帰りにはK奈川県内ではあまり出会えない?という噂のK奈川の某博物館のKRB氏をF岡県内の湿地帯で発見しました。

 

日記

今日は湿地帯調査でした。まずは知り合いの方からいただいた情報に基づく現地確認。

f:id:OIKAWAMARU:20190327192539j:plain

確かにかなり良い水路!これは珍しい!

f:id:OIKAWAMARU:20190327192544j:plain

オオ!ドジョウ!確かにいました。この水系で採ったのははじめてです。

f:id:OIKAWAMARU:20190327192546j:plain

カスミサンショウウオの卵のう。多くはありませんでしたが、みっしりと良い卵のうでした。

f:id:OIKAWAMARU:20190327192547j:plain

次は毎年確認している水路へ。見た目は激変していません。

f:id:OIKAWAMARU:20190327192550j:plain

ここは秘密のカワバタモロコの生息地なんですが、今年も健在でした。良かった。これはかなり大きい個体ですが、昨年生まれの小さい個体もいたので、うまく再生産できているようです。

f:id:OIKAWAMARU:20190327192636j:plain

ここはニッポンバラタナゴもたくさんいます。いつまでもこういう楽園だと良いのですが。。ま、とにかく無事を確認したので今日の調査は意義のあるものでした。

日記

侵略的な外来種として活躍していたマングースの駆除にほぼ成功した奄美大島において、アマミノクロウサギの個体数が増えているという新聞記事を見ました。

www.asahi.co

実は一昨年、昨年と二年連続で奄美大島に行ったのですが、いずれも2晩ずつというスケジュールの中、二年連続でアマミノクロウサギを見ることができました。増えているというのは本当だろうなと思います。

f:id:OIKAWAMARU:20190326140307j:plain

これは昨年撮影したものです。普通の山間舗装道路を夜に車で走っていたら路上にいたのですが、こちらに気づくとあわてて斜面を駆け上ろうとして、驚くべきことに脚をすべらせて転んで、最後はこちらにおしりを向けてじっとしていました(写真)。これは高性能外来捕食者にとっては良い餌だろうと思います・・・。

f:id:OIKAWAMARU:20190326140321j:plain

近くの林道では歩いているアマミヤマシギにも出会いました。この鳥ものんびりと油断しすぎていてやばいです。夜の林道で出会うと驚いて飛び立つのですが、だいたいすぐ先に着陸します。したがって、そのまま歩いていくとその先で同じように立っているアマミヤマシギにまた出会います。するとアマミヤマシギはまた驚いて飛び立つのですが、やっぱりだいたいその少し先の林道上に立っています。野生の鳥類として何か色々と間違っているような気がしてなりません。これらはいずれも、数十万年のスケールで大陸から切り離され、強力な捕食者がいない生態系で進化したことが原因と思われます。すなわち、人為を超越した様々な偶然と奇跡が重なって、これらの生物がこの世にあるというわけです。人為的にこれらの生物を滅ぼすような事態は、なんとしても避けなくてはなりません。

f:id:OIKAWAMARU:20190326140326j:plain

マングースはほぼ根絶に成功したと言われていますが、次に問題になっている高性能外来捕食者がネコです。これは上の2つの写真を撮った場所からはだいぶ距離のある海岸沿いの道路上にいたネコです。ネコと言っても、飼われている飼い猫、人家回りでうろうろしている野良猫、そして完全に森林内で野生の暮らしをしているノネコ、とおおむね3つのカテゴリーで理解されていますが、このうち奄美大島の貴重な生物に大きな悪影響を与えると考えられているのはノネコです。写真のネコは首輪をしていなかったので飼い猫ではなさそうですが、野良猫かノネコかはわかりませんでした。

ネコは好きな人が多く、行政的にノネコ管理をすることを批判的に見る人は少なくありません。アマミノクロウサギが増えたのだから、ノネコ管理をする必要はないという意見もあるようです。しかしそれは違います。ノネコ管理はアマミノクロウサギ保全するためだけにしているわけではありません。奄美大島の生態系保全をするためにしているのです。それは奄美大島の生態系から得られる利益を持続的に利用することにもつながります。そして世界的に貴重な奄美大島の生態系を損壊せず次世代に引き継ぐことは、たまたま奄美大島をその領土に含んでいる日本国としての義務であるともいえます。ノネコはアマミノクロウサギもアマミトゲネズミもアマミケナガネズミもその他固有の爬虫類も両生類も昆虫類も食べます。したがって、アマミノクロウサギが増えたからノネコ管理をしなくていいという話ではないのです。ノネコは環境省農水省による「生態被害防止外来種リスト」にも掲載されており、国としても侵略性のある外来種として扱っています。かわいそうな野良猫‐ノネコがこれ以上増えないための対策を講じるとともに、いま生態系に悪影響を与えている野良猫‐ノネコについては早急な対策が必要と思われます。

書評

ウラケン・ボルボックス(絵と文)・五箇公一(監修)「侵略!外来いきもの図鑑 もてあそばれた者たちの逆襲」PARCO出版

publishing.parco.jp

侵略性のある外来種は生態系のみならず、農林水産業や公衆衛生、文化財などあらゆる分野に問題を与えており、現在の日本においても多くの「害」を引き起こしています。したがって、外来種問題は国内において早急に対策・解決すべき社会的な重要課題の一つと言えます。しかしながら外来生物法ができたのが2005年、生態系被害防止外来種リストと外来種被害防止行動計画ができたのが2015年ということで、社会的課題として認識されたのがごく最近ということもあり、まだまだ正しい知識の普及が不足しており誤解も蔓延している状況にあります。加えて、即刻人命に悪影響を及ぼすという類の問題ではないこと(一部そういう外来種もいますが)、また課題解決にはその生き物を「駆除」する(すなわち命を奪う)必要があること、などがより問題を複雑混沌怪奇なものにしていると思われます。なんかこうそのあたり、これとりあえず読んでおいて!的な外来種本ないかなと思っていたここ数年ですが、ついにこれは良いというものが出ました。それがこの本です。

私も常々講演会や観察会などで言っている外来種問題を考える上で必須の基本知識、「外来種は悪くない、悪いのは人間」「外来種に罪はないが、害はある」「対策すべきはすべての外来種ではなく、侵略性のある外来種に限る」「外来種対策は持続的な人間社会構築のために必要があってしていることである」「侵略性のある外来種はどれも生物としては魅力的でかっこいいすごい生物ばかり」「じゃあどうしよう?」というあたり、このあたりどうしても伝わらないことがあるのですが、この本ではそのあたりが非常にわかりやすく押しつけがましくなく、なんとなくすっと「感覚的に」理解できます。これだ、と読んで強く思いました。

本の構成として部分部分に法令や外来種に関する専門的な(でもわかりやすい)概説があり、他は侵略性のある外来種各種(動物73種+植物3種)について1~2ページでイラストを主体に解説してあります。なんというか非常にスタンスが中立的で良く、適度に肩の力が抜けながらも抑えるべき点は外していないということで、楽しみながら外来種問題が理解でき、総じて腑に落ちます。あと総ルビなのでお子さんでも読めます。はじめから順に読まなくても、気になった外来種各種のページからぱらぱら読んでも楽しめる構成です。あと、カバーをめくるともっとも問題のあるとある生物の解説も出てきます。小ネタも多く遊び心も満載です。

f:id:OIKAWAMARU:20190325095956j:plain

これを書かれたウラケンさんの本職は普通のちょっと生き物好きなイラストレーターで、特別な生き物オタクではないそうですが、そうした立ち位置がちょうどよかったのかもしれません。こちらにどのような経緯で本書ができたかをウラケンさん自ら解説した記事がありました↓

irorio.jp

これを読むとなるほど、本書の空気感がこうなったことがよく理解できます。私のような生き物オタクが書くと、ついつい肩に力が入って押しつけがましくなりがちです。また、監修として国立環境研究所の五箇公一先生が入っているのは安心感があります。五箇先生は言わずと知れた、国内の外来種問題の第一人者です。内容に大きな問題が見当たらないのも、このあたりしっかりつめたことが理由かもしれません。

昨今、外来種問題の本質について全く勉強せずに「俺の意見や妄想」を垂れ流した悪書も散見されます(例えば・・)。しかし本書はそもそも外来種問題とはどういったものか、ということを確かな最新の科学的知見に基づき、感覚的に理解できる良書と思いました。この本に書いてあることを多くの人が理解して、新しい不幸な外来種が少しでも減ることを願っています。ということでもうとりあえず一家に一冊レベルです。環境行政にかかわっている人、保全にかかわっている人、環境教育にかかわっている人、環境コンサルティング会社の人、ただの生き物オタクの人など、色々な分野の方におすすめです。児童書という設定とのことですが、これはむしろ大人にも大いに読んで欲しい内容です。

大きな間違いはありませんが気になった点以下。

・P86 オオクチバスのイラストの中の「希少在来種のみなさん」の中にザリガニっぽい生き物がいるのですが、おそらく二ホンザリガニと出会うことはないので、ここはほかの生き物が良かったかも(特にアメリカザリガニが在来種と思っている人はかなり多いので)。

・P93 タイリクバラタナゴの雄の腹鰭の白線はがっつり描いてよかったと思います。あとできれば側線鱗も(7枚くらい)。

・P117 クビアカツヤカミキリは2018年に特定外来生物になっていますね。なお本書では特定外来生物かどうかはページの左上か右上にアイコンで示されていて、これも便利です。

まあたいした問題ではありません。おすすめです!!

論文

Tominaga, A., Matsui, M., Nishikawa, K. (2019) Two new species of lotic breeding salamanders (Amphibia, Caudata, Hynobiidae) from western Japan. Zootaxa, 4550: 525–544. (LINK)

今年出版された九州関連のサンショウウオ分類論文でもう一つ重要なものも紹介します。ブチサンショウウオです。

ブチサンショウウオ類の分類には若干の混乱があり、ずっと昔はただ1種ブチサンショウウオH. naeviusだけだったのですが、実はよく似た別種が含まれていることが後にわかり、しかもこの種はすでにH. naevius yatsuiとして1947年に記載されていたことまでわかり、コガタブチサンショウウオH. yatsuiとして区別されました(Tominaga & Matsui, 2008)。ところがベッコウサンショウウオに用いられていた学名H. stejnegeriの模式標本を精査したところ、なんとこれがコガタブチサンショウウオであることが判明。学名H. stejnegeriは学名H. yatsuiよりも記載が古いことからコガタブチサンショウウオの学名がH. stejnegeriに変更(同時にH. yatsuiは二度目の消滅)、そしてベッコウサンショウウオが未記載であったことから新種H. ikioiとして記載されるという衝撃の論文が出たことは記憶に新しいです(Matsui et al., 2017)。これでブチサンショウウオH. naevius、コガタブチサンショウウオH. stejnegerに決定しめでたく終了・・かと思いきやそうではなかったというのが今回の論文です(前置きが長くてすみません)。

ということでこの論文では「ブチサンショウウオH. naevius」の方を遺伝的・形態的に詳しく調べ、実は3種からなる種群であったことが判明し、このうち本州・中国地方に広く分布するものをチュウゴクブチサンショウウオH. sematonotos、九州北東部に分布するものをチクシブチサンショウウオH. oyamaiとしてそれぞれ新種記載しました。また、本物のブチサンショウウオH. naevius」の方は実は九州北西部の比較的狭い地域に分布する種であることが今回の研究から明らかになりました。ちなみにブチサンショウウオシーボルトコレクションに基づいており、すなわちシーボルト様のおかげで本物のブチサンショウウオは未来永劫九州産ということになります。かつて1種と考えられていたブチサンショウウオには実は4種が含まれていたのです。そしてこのうち3種(ブチ、チクシブチ、コガタブチ)が九州に分布することになります。

ということで現時点で九州地方のサンショウウオ属は以下の11種となりました。

カスミサンショウウオHynobius nebulosus (Temminck & Schlegel, 1838)

分布:福岡県、佐賀県長崎県熊本県、鹿児島県

●ツシマサンショウウオHynobius tsuensis Abe,1922

分布:長崎県対馬

●ヤマグチサンショウウオ Hynobius bakan Matsui, Okawa & Nishikawa, 2019

分布:大分県(及び山口県

オオイタサンショウウオHynobius dunni Tago, 1931

分布:大分県熊本県、宮崎県

●ブチサンショウウオHynobius naevius (Temminck & Schlegel, 1838)

分布:福岡県、佐賀県長崎県

●チクシブチサンショウウオHynobius oyamai Tominaga, Matsui & Nishikawa, 2019

分布:福岡県、大分県熊本県

●コガタブチサンショウウオHynobius stejnegeri Dunn, 1923

分布:福岡県、佐賀県大分県熊本県、宮崎県、鹿児島県(及び東海地方以西の本州、四国)

●ベッコウサンショウウオHynobius ikioi Matsui, Nishikawa & Tominaga, 2017

分布:熊本県、宮崎県、鹿児島県

●ソボサンショウウオHynobius shinichisatoi Nishikawa & Matsui, 2014

分布:大分県、宮崎県、熊本県

●アマクササンショウウオHynobius amakusaensis Nishikawa & Matsui, 2014

分布:熊本県天草諸島

●オオスミサンショウウオHynobius osumiensis Nishikawa & Matsui, 2014

分布:鹿児島県

私が九州大学生物研究部小動物班に加盟して両生類のお勉強をはじめた1998年頃は、九州の小形サンショウウオはカスミ、オオイタ、ツシマ、ブチ、ベッコウ、オオダイガハラの6種と言われていたので、ずいぶんと研究が進んだ感があります。

11種というと細かく分けすぎなのでは!という人もいるかもしれませんが、それぞれの論文を読めばわかるようにいずれも遺伝的にも形態的にも区別できることが示されており、分類学的に区別することについては妥当であると思います。すなわち細かく分けすぎということではなく、そもそも本来区別すべきものをようやくきちんと区別できるようになったというあたりが正しい認識でしょう。より正確にその多様性の実態が認識されて、各地の「宝」として扱われて、今後も人類と末永く共存していくことを願っています。なお、これらの九州産サンショウウオのうち、アマクササンショウウオ、ソボサンショウウオ、オオスミサンショウウオの3種は種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定されており、無許可での採捕は厳しく禁止されています。またベッコウサンショウウオは分布する全県でそれぞれ県独自の法令により採捕が禁止されています。

 

参考文献

Matsui, M., Nishikawa, K., Tominaga, A. (2017) Taxonomic relationships of Hynobius stejnegeri and H. yatsui, with description of the amber-colored salamander from Kyushu, Japan (Amphibia: Caudata). Zoological Science, 34: 538-545.

Tominaga, A. & Matsui, M. (2008) Taxonomic status of a salamander species allied to Hynobius naevius and a reevaluation of Hynobius naevius yatsui (Amphibia, Caudata). Zoological Science, 25: 107-114.

 

f:id:OIKAWAMARU:20190804215630j:plain

ということで記載者の富永篤博士から写真を提供いただきました。写真左がチクシブチサンショウウオHynobius oyamai、右がコガタブチサンショウウオHynobius stejnegeriです。いずれも福岡県産です。

f:id:OIKAWAMARU:20190804215635j:plain

それからこちらがブチサンショウウオHynobius naeviusです。こちらも富永博士提供の佐賀県産です。
ブログでの写真使用をご快諾いただいた富永さん、本当にありがとうございました!