オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

ポン氏が駄菓子屋さんに行ってみたいというので、調べて行ってきました。独立店舗型の駄菓子屋。今回予算は100~200円という設定でしたが、ポン氏は何を買うか相当悩んでいました。この予算で悩めるのが駄菓子屋のだいご味であります。

せっかくなので私も買いました。大人なので5000円分かっても良いのですが、200円以下で。奥に写っているのは悩んでいるポン氏。

大きな透明プラスチックケースに入っているものから選べるイカのあれ。一本50円でした。超久しぶりに食べましたが、固さと味付け、懐かしみがあります。

おなじみ蒲焼さん太郎。上のイカもこの蒲焼さん太郎も、主原料は今も昔も野生生物です。つまり駄菓子の多様性も生物多様性の恵みで成り立っているということがわかります。

どんどん値上がりするので10円で買えるお菓子はもうなくなってしまうかもねー、と店主の談でした。次入荷から15円というお菓子もちらほら。確かに以前は5円とか10円とかだったお菓子たちもすでに20円とか50円とかになっていました。

しかしイカやタラが採れなくなってしまったら、値上げどころか存在そのものが消滅ですから、やはり生物多様性保全というのは我々の社会を豊かに続けていく上で重要であることがわかります。

日記

2022年の福岡県ではアンピンチビゲンゴロウの採集・観察例が相次ぎました。この中には私が10年以上にわたり毎年1回は調査をしている池や、4年以上詳細な調査を行っている池が含まれており、今年になってから大発生しているのは確実です。

アンピンチビゲンゴロウの標準的な模様の個体。

アンピンチビゲンゴロウのやや変わった模様の個体。

本種は神谷(1938)によりアンピンチビゲンゴロウBidessus antennatusとして当時日本領となっていた台湾から記録された種です。したがって、アンピンは台湾の地名「安平」に由来します。なお、本種の学名は現在はHydroglyphus flammulatusになっています。

日本国内からは上手ほか(2003)によって石垣島西表島与那国島から初めて記録されました。その後は長らく新しい記録はなかったのですが、2010年代になって突如本土で発見され始め、現在のところ長崎県、福岡県、山口県島根県愛媛県から記録されています。このうち福岡県の記録は2013年が初かつ唯一のものでした(井上ほか,2013)。それが突然、2022年になって、県内各地で同時多発的に発生したということになります。本種は中国中南部から南アジアにかけて広く分布する「南方系」の種であることから、おそらく低温には弱いものと推察されます。したがって、人為的な気候変動の影響で越冬に成功する個体が増え、急激に増加したという可能性も考えられます。今後さらに増えていくのか、今年だけのことなのか、その動向に要注目です。

 

 

 

 

日記

今日は完全休み。久留米市高良大社に行ってみました。筑後国一ノ宮の神社ですが、これまで行ったことがなかったのです!。

鮮やかな本殿!猿まわしも来ていてにぎやかでした。

本殿手前の茶屋ではかますずしが売られていました。この時期にしか売られていないそうです。まったく知らずにたまたま今日来たわけですが、良い日に来ました。

早速購入しました。

食べました。かなりおいしい、好きな味でした!

かます寿司は福岡県の郷土料理として、農林水産省HP「うちの郷土料理」にも掲載されていました

www.maff.go.jp

これは生物多様性の恵みのうち、供給サービス&文化的サービスということになりますね。郷土料理が重要と農林水産省様も思っているならば、生物多様性保全にも本腰いれて取り組んで欲しいです。生物多様性が破壊されると郷土料理も滅びます。いつまでもこんな文化が続くことを願っています。

日記

生きてます。近年まれにみるやらなければならないことの多さで、色々とままならない日々が続いています。なんとか乗り越えたいです。

ということで、先日にいただいた福岡県産のクロホシマンジュウダイの幼魚。頭が何やらゴツイですが、これはいわゆるトリクチス幼生の特徴です。超カッコいいです。お送りいただいたNさん、ありがとうございました!

クロホシマンジュウダイはいわゆる南方系の魚類で、南西諸島以南では河川にも遡上する様子が普通に観察できます。そのため日本の淡水魚図鑑にもよく掲載されている種です。低温に弱いことから九州以北では越冬をすることは難しいと考えられていますが、海水温が上昇すると普通にみられるようになるかもしれません。

日記

今日はO山大学のF先生とYA水族館K館長との合同での湿地帯貝類調査でした。超絶楽しく勉強になりました。ありがとうございました!

さて、今日のもっとも重要な目的は某淡水貝類の標本採集だったのですが・・なんとこのメンバーで外すという大惨事。これは生活史に何らかの秘密があるという可能性が高いという結論に達しました。まだまだ謎が多い湿地帯生物のようです。野外での調査は必ず何らか得るものがありますので無駄はありません。

 

次に場所を変えて、某希少貝類の生存を確認しに行ってきました。私は初めて探す貝類です。素晴らしいエコトーンです。

いました!オオクリイロカワザンショウです。思ったより大きいです。まだ生き残っていたようで良かったです。

 

さらに場所を変えて干潟貝類研修です。K館長に対するF先生の厳しい指導が続きます(嘘です。貝類探しに熱中しているので互いに人類は見えていません)。私は個人的に興味があったオカミミガイ類を探してみました。なんといってもF先生はあらゆる貝類に精通した神の一人ですから、ここを探すと良い、という助言に従って探してみます。

キヌカツギハマシイノミです!美しい模様の殻と黒いつやつやした体が魅力的です。いきなりかなり珍しそうなのを発見してしまいました。

次いでハマシイノミをみつけることができました。これは椎の実っぽいです。

さらに何かいないか探していると、​ナラビオカミミガイがいました!つやつやでかわいいです。

それから死殻でしたが​クリイロコミミガイもみつけることができました。すらすらと名前を書きだして、さも私が詳しい雰囲気を醸し出している記事となっていますが、すべて現地でF先生にすらすらと教えていただいたものです。神はさすがです。私も詳しくなった気になってきました。これらはいずれもオカミミガイ科に属する巻貝で、干潟の潮間帯上部、ヨシ原や岸辺の微妙な環境に生息しています。つまりエコトーン系湿地帯生物ということです。したがってその多くが各地で希少種となっているようです。なんだか興味が湧いてきたので、今後意識していきたいと思います。

 

大きなハマガニがいました。鮮やかでかっこいいです!

白い点々はすべてハクセンシオマネキです。希少な生物がたくさんいる湿地帯は、そもそも生物がたくさんいるのです。

 

勢い余って集合写真も撮影しました(セルフタイマーです)。

日記

先日入手した福島県いわき市のいわきチョコレート社の「めひかり塩チョコ ビター」、かなり好きな味でした。これはおいしい。生物多様性の文化的サービスとしてメヒカリ(アオメエソ)を模しているというのもきわめてポイントが高い。しかしおいしいと思う。おすすめ。

会社HPから通販可能、Amazonからも買えるようです。

 

昆虫大学

もはや先月となってしまいましたが、7月2日・3日に東京都内某所で「昆虫大学2022」というイベントがあり、基調講演にお声がけいただいたので講演を行うとともに、せっかくなので出店してきました。昆虫大学公式サイトはこちらです→リンク

昆虫大学とは何なのか?「あのメレ山メレ子氏が主催する昆虫その他の「蟲」のもつ多様な魅力をプロから学ぶ隔年開催のクリエーターイベント」です。ということで2年に一回、蟲をテーマに研究や芸術、生活をしている色々な人が一堂に会してその魅力を伝えるという場です。コロナ禍の中、今回は4年ぶりの開催となり、コロナ対策のため事前申し込み制ということで、慎重に行われました。

今回、主に私の任務であった夜の講演会は豪華メンバーによる講演だったこともあり、プラチナチケットになってしまっていたようでした。今回の昆虫大学ロゴは水生昆虫&ヤマトシマドジョウデザインということになっており、すなわち私の基調講演とも連携する形であることから大感謝でありました。ということで私はがんばってしゃべりました。いかがだったでしょうか。

さて、出店は以下のような感じです。今回は「くろむし屋」としてブースを出させていただきました。そう、「おいかわ丸のくろむし屋」こそが私のインターネット上での原点。令和のこの世に華麗に見参しました。

店構え。今回は水生昆虫標本の展示解説、生きた水生昆虫の展示解説に加えて、オリジナルグッズを開発して販売も行いました。

オリジナルグッズ1 オオヨドシマドジョウポストカード。新種記載論文のために描いたあのスケッチを古風なポストカードにしました。

オリジナルグッズその2 くろむし屋ロゴ眼鏡拭き。あの伝説のロゴを眼鏡拭きに!

オリジナルグッズその3 オイカワ丸さん缶バッジ&アクキー。配偶者氏の知人の絵師さんに書き下ろしていただきました!ありがとうございます!

 

オリジナルグッズその4 水生甲虫マグカップ。ネイチャーガイド日本の水生昆虫に使った線画を配した逸品です。

両日ともに賑わいは半端なく、ほぼしゃべりっぱなしで、書籍にサインをしたり水生昆虫の解説をしたりいたしました。皆さん楽しんでいただけたでしょうか。私は楽しかったです。

それから私はミーハーなので、お会いしたかった何人かの方にサインをもらったり一緒に写真を撮ってもらったりしました。どうもありがとうございます。

さらに、グッズもしっかり入手に動きました。それは以下です。

ウルド先生グッズはポン氏が喜んで使っています。

 

ということで簡単ながら昆虫大学報告でした。とよさきかんじさんの、あの特攻服を着て、素晴らしい昆虫大学ロゴの前での撮影もこなしてきました。楽しさが伝わってきます。

お声がけいただいたメレ山さん、どうもありがとうございました!良い思い出となりました。次は2024年だそうです。楽しみです。