NPO法人北九州・魚部がプロデュースするオンセンゴマツボ荘に湿地帯ビオトープを造成する企画。「オゴマ荘亀川ビオトープ」の第3回作業に行ってきました。
第1回はこちら↓
第2回はこちら↓
5月くらいに!と前回書いていましたが、もう7月でした。すみません・・・ということで、折々魚部I氏から写真等は送ってもらっていたのですが、約3ヵ月ぶりに実見したオゴマ荘ビオトープはこちら↓
凄すぎる!!!エコトーンは完璧です。
そして前回第2回で書いた通り、許可を得て農業水路から採集してきた亀川在来ミズオオバコ種子が含まれていると思われる土を撒いたあたりには、立派なミズオオバコの大株が!花も咲いています。狙い通り過ぎます。
ついでにコナギも繁茂していました。水質も良好です。
まずは伸びすぎていたミゾソバなどをハサミでカットしていきます。このまま夏を迎えるとおそらく水面を覆い尽くしてしまう可能性があるからです。また、本ビオトープはシート式のため、引っこ抜くと土砂ごと抜けてシートがむき出しになる可能性があるため、ハサミを使います。
本日は若き湿地帯戦士が3名来ていたので、カットを手伝ってもらった後は、さらに湿地帯生物調査も手伝ってもらいます。植生帯を壊さないように、小さな金魚網で丁寧に採っていきます。
採れた生物は分類して記録します。ということで確認できたのは、昆虫類はフタバカゲロウ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、ケシカタビロアメンボ、ヒメイトアメンボ、コミズムシ属の一種、チビミズムシ属の一種、甲殻類はミズムシ、クロベンケイガニ?、貝類はドブシジミ類、ヒラマキガイ類(2種)、魚類はミナミメダカでした。このうち、ミナミメダカはボウフラ対策のために同じ亀川地域から採集してきて入れたもので、貝類や甲殻類のミズムシは植物についてきたものと思われます。他の昆虫類やクロベンケイガニは自力でやってきたものでしょう。特にオオシオカラトンボのヤゴは大小様々多く生息していました。一方でボウフラは蛹が1つみつかっただけでした。捕食者が定住した湿地帯ビオトープでは蚊の大量発生はない、という仮説がまた裏付けられました。現地で同定できなかった種類は、標本にして詳しく同定しようと思います。
次いでミナミメダカを採ったのと同じ、近傍の湿地帯に出かけます。なんとここにはドジョウがいるのです!
さっそく採れました。今年生まれのドジョウです。私や魚部の調査ではこの地域ではドジョウはほぼ絶滅状態で、この湿地帯が唯一と言って良いほどのまとまった生息地と思われます。
それからマルタニシも採れました。マルタニシもドジョウも、聞き取りをするとかつては別府市内の水田やハス田に広く普通にいたようです。しかしそもそも水田やハス田がほとんどなくなった結果、この2種は当地では絶滅寸前という状況です。ということで少し採集してきて、このオゴマ荘亀川ビオトープに入れることにしました。ちなみに外部形態の特徴は在来としてまったく矛盾のないものでした。念のため今後遺伝子も調べておく予定です。
入れている様子です。ドジョウは逃げだす可能性もあるのですが、万が一逃げ出しても同じ地域なので遺伝的な問題はありません。このビオトープで増えてくれるとうれしいのですが。「失われた亀川の湿地帯を再現する」というコンセプトの本湿地帯ビオトープ、かなり近づいてきたと言えるでしょう。
次は秋にまた水生昆虫の様子を調査に来たいと思います。帰り際、アオモンイトトンボの成虫が飛んでいるのもみんなで確認しました。確実に湿地帯が再生しています。次回は何か水生甲虫が来ていて欲しいです。