オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

今日は調査でした。今年は海も調べないといけないのですが、海は苦手です。でも仕事なのでしますが。。

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久しぶりに本格的な干潟に行ったらしにそうになりました。夏の干潟はキツイ・・。しかしながら久しぶりに本格的な干潟にいったおかげでカブトガニに出会えました。久しぶりです。やはりただならない雰囲気ですね。カッコイイです。

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クサフグです。クサフグは河口にもよくやってくる魚なので、比較的なじみ深いです。

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これは別の場所。干潟ではなくて砂浜です。砂浜とか完全に守備範囲外です。この仲間は苦手ですが、調べた感じでは上がクロウシノシタ、下がササウシノシタでしょう。似てますが腹を下向きにした際に、クロウシノシタは左向き、ササウシノシタは右向きです。この2種は科も違うので、だいぶ違うようです。

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クロウシノシタはものすごくたくさんいました。こんなに採ったの初めてかも。川にはいないタイプの魚なので、これはこれでカッコイイです。異体類すごい。

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何か無脊椎動物が打ちあがっていました。おそらくヤマトメリベという生き物と思われます。遊泳性のウミウシの仲間です。Youtubeに動画がありました。このように袋状になった部分で小動物を包みこんで捕食するようです。変です。

www.youtube.com

 

書評

八郎潟・八郎湖の魚 干拓から60年、何が起きたのか」杉山秀樹(著)、秋田魁新報社リンク

秋田県で長く淡水魚類を中心に地道な研究をされてきた杉山秀樹博士による渾身の著作です。コンパクトではありますが、前半の図鑑編、後半の文化編と情報量が多く非常に勉強になりました。

図鑑編ではいわゆる淡水魚類の他に、周縁性淡水魚類というか海水魚でありながらかつての八郎潟あるいは現在の八郎湖にしばしば入ってくる種類の掲載種数が多く、当地の魚類相を考える上でも非常に参考になります。

後半の文化編では、ドジョウ食文化も少し載っていましたが、コイやウナギに関すること、多様なフナ&ワカサギの食文化、それからかつて大量に漁獲したボラ供養のための「鯔塚」の話など、初めて知る内容が多く興味深いです。

かつて日本列島第2位の湖沼として君臨し、大量かつ多様な魚類の生息場となっていた八郎潟、そしてその周囲にあった文化。そんな八郎潟干拓した結果、失ったものは何であったのかということがよくわかります。おすすめです。

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干拓や埋め立て、確かに得られるものはありますが、長い年月を見たときに得たものと失ったもののバランスがとれていたのか、今後はきちんと検証していかないといけないでしょう。そして戻せるものは戻せるうちに戻す、という判断ができるものもあると思うのです。今後そうした国になっていって欲しいと、この本を読んで個人的に思いました。

日記

今日は調査でした。出身研究室の先生と学生さんと、大人数での調査は久しぶりで楽しかったです。でも目的の某種は採れず・・・

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ヤマトシマドジョウです。あいかわらず美しいです。

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カマツカです。相変わらず非の打ちどころがありません。

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ナマズ。今年生まれですね。ナマズの成長速度は驚異的なので、これでも生まれて1カ月程度と思います。

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カライワシのレプトケパルス幼生です。久しぶりにみました。九州北部ではこの時期、河川感潮域でしばしばみかけます。

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ミシシッピアカミミガメの幼体。いわゆるミドリガメアメリカ大陸原産の外来種ですが、しっかりと繁殖し定着しているようです。美しい亀なんですけどね。。

日記

今日は少し時間がとれたのでドジョウの観察など。どれもドジョウですが、どれがドジョウなのでしょうか。難しいです。

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ムムム・・ しかしどれも同じとして扱ってはいけないものだということは、わかってきました。

 

書評

クワガタムシハンドブック 増補改訂版」横川忠司(著)、文一総合出版リンク

2008年に出版された日本のクワガタムシハンドブック(当時の書評はこちら)が、10年の時を経て大幅にパワーアップして帰ってきました!

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右が旧版、左が今回出た増補改訂版です!

当時も書きましたが、図鑑、特にこのような入門系のものは恐ろしいほどの実力者がその膨大な知識と経験を削りに削って1/10くらいに濃縮し一般向けに調整したものほど読み応えがあり内容も素晴らしいというのが私の持論なわけですが、今回は濃縮されてもはや粘土のようになった状態まで行っているかのような趣すらある圧倒的な作り込み、濃さを感じます。というか実は入門用ではないかもしれません。しかし題材がクワガタだからか、著者の繊細な匙加減の妙なのか、読みにくいことはありません。良い塩梅で、図鑑愛好家としてはかなり凄みを感じる感動的な逸品に仕上がっています。

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前回と比較すると、まずページ数が80ページから128ページに増加しています。そして前回は本土のクワガタメインであったのが、今回は南西諸島産もしっかりと解説しています。ただしページ数に限りがあるので亜種や近縁種をそれぞれ独立して解説することは避け、うまく種や種群としてまとめています。このおかげで逆に全貌がつかみやすくなっています。そして標本写真もおそらく全面的に撮りなおしているのだと思いますが、小型の種類は隅々までピントのあったとても美しいものになっています。そもそも標本が美しいです。今回も引き続き「区別」にはかなり力をいれており、オスのみならず、メスについてもこれを使えばかなり確実に同定ができそうです。それから新たに追加されたクワガタが集まる樹木図鑑や、同定するためのスマホでの撮影法など、非常に充実した内容です。もちろん引き続き、クワガタの外来生物問題も解説しています。総じて、実に奥深い日本列島のクワガタムシの世界がわかりやすく提示されています。

今回改めてクワガタムシの図鑑を読んで、クワガタムシというのが日本列島の生物相を構成する要素としてはかなり面白い存在であることを再認識しました。本土から南西諸島のヒラタクワガタの変異、本土のルリクワガタ属や南西諸島のマルバネクワガタ属の種分化は日本列島の生物相の成立様式を考える上で外せない項目です。また、色々と知識をもって改めて見てみると、特にミクラミヤマクワガタ、アマミミヤマクワガタ、アマミシカクワガタ、ヤマトサビクワガタの分布パターンというのはどうかしていますね。何なんでしょうか。色々と妄想が膨らみます。

ということで、1800円という値段は、正直安いと私は思います。これは一家に一冊レベルと言えましょう。おすすめです。

余談ですが、前にも書きましたように著者のY川大先生はQ大生物研究部昆虫班の2コ上の先輩でして、それはもう過酷な楽しいクワガタ採集に、何度か連行され同行させていただきました。当時から自宅アパートの部屋の真ん中には巨大な切り株が鎮座しているなど圧倒的熱量をもったクワガタ採集人でしたが、その当時から積み上げてきた知識と経験がこの図鑑には存分に詰まっています。

日記

今日は観察会でした。晴れでしたが気温はそれほど上がらず、良かったです。

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今日のライブ会場。水田ビオトープです。開始前に1時間ほど入念に歩き回って、マムシ等がいないか確認します。確認というかあわよくばヘビなどを捕まえて見せたいという思いがあります。

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首尾よくヤマカガシを捕まえることができました。これはキープしておいて、観察会前の注意事項説明で見せるわけです。実際にいたやつです!と言うと緊張感が増すのでお勧めです。

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今日は才能ある少年が参加していました。見てくれ!というので見るとサンダルにぎっしりとアマガエルがつまっていました・・

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観察会ではかなり久しぶりに、シュレーゲルアオガエルが!その少年がみつけてくれました。彼にはかなり才能を感じました。今後に期待したいです。それにしてもシュレーゲルアオガエル、ちょうかっこいい。

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コオイムシです。ここでは毎年ぽつぽつみつかっているのですが、今年は渇水で水が入るのが遅れたのでみつからず・・いないなあと思っていたら先ほどのシュレーゲルアオガエルを発見した少年が捕まえてきました。スゴイ・・講師役立たず・・・

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アカハライモリ。かわいい。今日も死んだふりなどはせず、ひたすらバタバタしていました。かわいい。

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それからジムグリ!これも参加者がみつけてくれました。ジムグリも生きたの見たのは久しぶりです。ちょうかっこいい・・・。皆さんにも触ってもらいました。みんな喜んでいました。私もかなり喜んで触っていました。

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逃がす前に上からジムグリ。ヘビ力低いのでジムグリぜんぜん出会えないんですよね~。次に出会うのはいつになるやら。。ということで名残惜しくありましたが、お別れして山に帰っていきました。久しぶりに見たけどやっぱり良いヘビですね。

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カナヘビです。ということで今日は大物の皆さんが続出して、皆さん熱心に見てくれて良い観察会でした。この他、水生昆虫はマルミズムシ、ヒメイトアメンボ、アメンボ、ヒメアメンボ、コガムシ、ヒメガムシ、キイロヒラタガムシ、トゲバゴマフガムシ、コシマゲンゴロウ、コマルケシゲンゴロウ、チビゲンゴロウがいました。