オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

ナーフー

ナーフー(その11・最終回)

その10の続きです。今回で最終回となります。今回のこの一人お勉強タイムの目的は、現在までの科学的知見で日本産フナ属の分類はどのように理解・整理できるのかを考える、というところにあります。ということでこれまで読んできた論文を振り返り、個人的な…

ナーフー(その10)

伊藤毅彦・藤田朝彦・細谷和海(2008)北海道勇払原野で採集された特異な形態のフナ.魚類学雑誌,55:105-109. その9の続きです。21世紀になって国内から未知のフナ発見の報告。日本随一のコイ目魚類形態学の研究室からの論文ですので、形態についても詳細…

ナーフー(その9)

Iguchi, K., Yamamoto, G., Matsubara, N., Nishida, M. (2003) Morphological and genetic analysis of fish of a Carassius complex (Cyprinidae) in Lake Kasumigaura with reference to the taxonomic status of two all-female triploid morphs. Biolog…

ナーフー(その8)

谷口順彦(1982)西日本のフナ属魚類-オオキンブナをめぐって-.淡水魚,8:59-68. ナーフー(その7)の続きです。日本のフナを理解する上で避けては通れない重要かつ濃密な研究が谷口順彦博士による一連の研究なわけですが、上記はその総説と言える一報で…

ナーフー(その7)

鈴木誉士・永野 元・小林 徹・上野紘一(2005)RAPD分析による琵琶湖産フナ属魚類の種・亜種判別およびヨシ帯に出現するフナ仔稚魚の季節変化.日本水産学会誌,71:10−15. ナーフー(その6)の続きです。日本が世界に誇る珍淡水魚の宝庫・琵琶湖には3分類群…

ナーフー(その6)

Sakai, H., Yamazaki, Y., Nazarkin, M.V., Sideleva, V.G., Chmilevsky, D.A., Iguchi, K., Goto, A. (2011) Morphological and mtDNA sequence studies searching for the roots of silver crusian carp Carassius gibelio (Cyprinidae) from ponds of Ser…

ナーフー(その5)

Takada, M., Tachihara, K., Kon, T., Yamamoto, G., Iguchi, K., Miya, M., Nishida, M. (2010) Biogeography and evolution of the Carassius auratus-complex in East Asia. BMC Evolutionary Biology: DOI: 10.1186/1471-2148-10-7 その4の続きです。以…

ナーフー(その4)

Yamamoto, G., Takada, M., Iguchi, K., Nishida, M. (2010) Genetic constitution and phylogenetic relationships of Japanese crucian carps (Carassius). Ichthyological Research, 57: 215-222. その3の続きです。国内的には6分類群として認識されてい…

ナーフー(その3)

第3回目のナーフー。前回は学名的な部分を確認しましたが、今回は和名もあわせて国内的な部分を確認してみようと思います。日本産フナ認識の歴史。日本ではそれぞれの時代で一流の魚類学者により、連綿とすばらしい総まとめが発表され続けています。というこ…

ナーフー(その2)

ナーフー(その1)の続きです。フナ論文を読み進めるにおいて、そもそも世界で学名が有効なフナ属は何種とされているのか。そして日本に関係するフナは「学名的には」何種いることになっているのか、を知っておくことは重要です。魚類の学名データベースとい…

ナーフー(その1)

まとまった研究時間もとれませんので、戯れにこれまで集めてポツポツ読んでいたフナの分類に関係がありそうな論文の紹介を不定期連載的に行っていきたいと思います。フナは日本人にとっては超絶馴染み深い淡水魚ですが、フナという魚の実態は、と問われると…